研究分担者 |
堀口 良昭 東京工業大学, 理学部, 助教授 (80209296)
澤村 正也 東京大学, 理学系研究科, 助教授 (40202105)
岩澤 伸治 東京大学, 理学系研究科, 助教授 (40168563)
大島 幸一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (00111922)
神戸 宣明 大阪大学, 工学部, 助教授 (60144432)
|
研究概要 |
本研究では,次世紀の有機合成の新たな背骨をつくる新化学現象・新反応の発見と開拓をめざし,反応メディアという観点から系統的かつ包括的に研究を行なってきた.とくに,電子移動反応場,金属錯体反応場,特異条件反応場とそれらの境界領域について重点的に検討を行なった.得られた主な成果を以下に示す. (1)有機スズ化合物の電子移動型酸化において顕著な分子内置換基の配位効果を実験および理論から明かにするとともに,それに基づく選択的な炭素-スズ結合の切断反応を見だし,電子移動反応におけるメディアの重要性を明らかにした. (2)超原子価カルコゲン化合物を経ると推定される特異なカルボニル化反応を見出した. (3)マンガン金属反応場の特長を生かした新規炭素-炭素結合形成反応を開発した. (4)金属カルベン錯体とアルキル金属の2つの異なる有機金属試薬の複合化により新しい金属錯体活性種の創成を行った. (5)特異な電子構造をもち,新しい反応場を提供するフラーレン金属錯体の合成に成功した. (6)ヘテロ原子とカチオンとの相互作用を利用する中大員環炭素骨格の合成に成功した. (7)超臨界フルオロホルム中での分子触媒反応において,反応のエナンチオ選択性がメディアの圧力により顕著な影響をうけることを明らかにした. 以上のことから,様々な形式の反応において反応メディアの重要性が再認識されたとともに,新化学現象・新反応の発見と開拓の指針を得ることができた.
|