研究分担者 |
澤村 正也 東京大学, 理学系研究科, 助教授 (40202105)
岩澤 伸治 東京大学, 理学系研究科, 助教授 (40168563)
碇屋 隆雄 東京工業大学, 工学部, 教授 (30107552)
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (00111922)
神戸 宣明 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60144432)
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研究概要 |
本研究では,次世代の有機合成の新たな背骨をつくる新化学現象・新反応の発見と開拓をめざし,反応メディアという観点から系統的かつ包括的に研究を行ってきた.とくに,電子移動反応場,金属錯体反応場,特異条件反応場とそれらの境界領域について重点的に検討を行った.得られた主な成果を以下に示す. (1) 常温では不安定なカチオンを,低温の電解酸化で発生させるとともにプールとして蓄え,非酸化的条件で各種求核剤と反応させる方法を開拓するとともに,それを用いた直接的炭素-炭素結合形成を開発した. (2) アート錯体を活性種とする新規反応場を開拓することにより,クロロシランを用いるアルケン類のシリル化反応や,アルキルトシラートやアルキルハライド類とアルケンのカップリング反応を開発した. (3) 水やアルコールに対して安定なトリエチルボランをラジカル開始剤とする含水アルコール中でのラジカル反応の開拓を行った. (4) 液体と気体の中間の性質あるいは両方の性質の優位点を兼ね備えた超臨界流体触媒法を活用してパラジウム触媒による炭素結合形成反応が効率よく進行することを見出した. (5) 従来,合成反応にほとんど利用されることのなかった6族金属のビニリデン錯体を活性種とする新しい合成反応を開発した. (6) C_<60>(CH_3)_5HやC_<70>Ar_3の金属錯体の合成に成功し,その立体的および電子的特性を明らかにした. 以上のことから,各種反応において反応メディアの重要性が再認識されたとともに,新化学現象・新反応の発見と開拓の指針を得ることができた.
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