研究概要 |
安田らは新しい希土類を用いてアイソタクチシチ-が高い,高分子量単分散ポリメタクリル酸メチルの合成に初めて成功した。これを既に合成してあるシンジオタクチシチ-の高い高分子量単分散ポリメタクリル酸メチルと混合することにより,ステレオコンプレックスが作成でき良好な物性が期待できる。藤原氏は遷移金属触媒によるメタンの活性化を経る研究を行い,VO(acac)_2/K_2S_2O_8/CF_3COOH系触媒を用いてメタンとCOの反応より,酢酸を97%の高収率で得た。またYb(OAc)_3/Mn(OAc)_2/NaClO/H_2O触媒系では水の中でも反応が進んだ。またV含有ヘテロポリ酸/K_2S_2O_8/CF_3COOH系触媒によりメタンやプロパンの反応を行うと容易に部分酸化が進行し相当するエステル類が高収率で得られた。高井氏らはクロム(II)やマンガン,亜鉛などの低原始価金属から有機化合物への電子移動を触媒量で制御できる金属元素を見いだし,新しい炭素-炭素結合生成反応の開発を目的としているが,本年は主にクロム(II)の還元力の再検討を行った。α-ハホウ酸エステルをTMEDAとLiIを添加して塩化クロム(II)で還元すると,共存しているアクリル酸エステルへの分子間1,4-付加反応が高収率で進行した。藤田氏は3次元的に閉じた構造を遷移金属と多座配位子からの自己集合により構築し,その内部孤立空間での新規な現象を探索することを目的として研究を行っているが,本年は新しい3座配位子(L)を用いてM6L4型錯体を合成した。またこれらの錯体の分子認識能について検討したところ,錯体内部空孔にカルボラン4分子が包接されることも分かった。山田氏はMM2遷移状態モデルを用いて連続環化反応に適したステロイドやビタミンD3等の多環式天然物合成を行い,MM2計算が非常に有用なことを示した。
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