ジスタンナンの光反応によって誘起される新規フルオロアルキル化反応

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09238247
• 研究機関: 東京都立大学
• 研究代表者: 伊與田 正彦 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50115995)
• 研究分担者: 桑谷 善之 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00234625) ; 吉田 正人 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50137030)
• キーワード: 有機フッ素化合物 / フルオロアルキルラジカル / ジスタンナン / ヘキサブチルジチン / スズラジカル / オキシフルオロアルキル化 / C_<60> / フラーレンダイマー

研究概要

有機フッ素化合物は、種々のユニークな生理活性・機能を示すことで知られている。申請者らは、フルオロアルキルラジカル中間体を用いる新規フルオロアルキル化反応を開発する目的で、標題の合成反応を検討した。この反応はデスタンナンを増感剤の存在下、または増感剤なしで光照射してスズラジカルを発生させ、さらにこのスズラジカルを用いてフルオロアルキルラジカルを発生させて有機合成に用いるという新規合成反応である。本年度は以下の反応について検討した。
(1).スチレンのオキシフルオロアルキル化反応
ジスタンナンの存在下にスチレンとフルオロアルキルラジカルの反応を酸素雰囲気下で行ったところ、スチレンにフルオロアルキル基と酸素官能基が同時に導入されることがわかった。そこで、このオキシフルオロアルキル化反応を詳細に検討して、合成反応として確立した。
(2).フルオロアルキル基を有するフラーレンダイマーの合成
C_<60>へのフルオロアルキル基の導入反応を窒素雰囲気下でジスタンナンを用いて行ったところ、従来より知られている方法と比べて効率良くフラーレンダイマーを合成することが出来た。

研究成果

• [文献書誌] Masahiko Iyoda: "Benzoquinone-LINKED Fullerenes with a Pyrrolidine Spacer" Chem.Lett.63-63 (1997)
• [文献書誌] Masahiko Iyoda: "Synthesis and Properties of 1,1-Diferrocenylethylenes and Their Mono-and Dications" Chem.Lett.103-104 (1997)
• [文献書誌] Masahiko Iyoda: "Nucleophilic Introduction of Fluoroalkylated Alkyl Groups into Aldehydes and Ketones Using the Corresponding Alkyl Halide" J.Chem.Soc., Perkin Trans.1. 643-648 (1997)
• [文献書誌] Masahiko Iyoda: "Synthesis of β-Amino Esters by Conjugate Addition of Nitrogen Nucleophiles to α,β-Unsaturated Esters Having Chiral" Chem.Lett.375-376 (1997)
• [文献書誌] Masahiko Iyoda: "Synthesis of Dithienothiophenes,Cyclopentadithiophenes and Silacyclopentadithiophenes Using Palladium-Catalyzed Cyclization" Tetrahedron Lett.38. 4581-4584 (1997)
• [文献書誌] Masahiko Iyoda: "Syntheses of New π-Donors Using the Reaction of EDT-TTF with Lithium Diisopropylamide" Mol.Cryst.Liq.Cryst.296. 41-51 (1997)