研究課題/領域番号 |
09238255
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
石井 康敬 関西大学, 工学部, 教授 (50067675)
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研究分担者 |
坂口 聡 関西大学, 工学部, 助手 (50278602)
西山 豊 関西大学, 工学部, 助教授 (30180665)
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キーワード | ラジカル / アダマンタン / カルボキシル化 / 一酸化炭素 / ラジカル触媒 / N-ヒドロキシフタルイミド / アダマンタンカルボン酸 / アセチル化 |
研究概要 |
フリーラジカルは最も反応性に富んだ化学種の一種であり、フリーラジカルを触媒的に発生させられることができれば多くの新しい反応が開発できる。我々はN-ヒドロキシフタルイミド(NHPI)が分子状酸素と反応しフリーラジカルであるフタルイミド-N-オキシルラジカル(PINO)を発生できることを見いだしている。本研究はこの点に注目し触媒量のNHPIと少量の酸素からPINOを発生させアルカンから水素を引き抜きアルキルラジカルを生成させ、これを出発物とする反応を開拓した。すなわち、アダマンタンのような環状炭化水素をNHPI(10mol%)を触媒に用い、一酸化炭素(15気圧)と空気(1気圧)よりなる混合ガスと酢酸-ジクロロメタン混合溶媒中で95℃・4時間オートクレーブ中反応させると1-アダマンタンカルボン酸を転化率75%、選択率56%で得ることができた。本カルボキシル化反応の特徴は、まず第一に触媒的に達成された初めてのラジカルカルボキシル化反応であること、また従来のカルボキシル化反応と比べ格段に収率が改善された点等が上げられる。他のアルカン類への拡張を試みたところ、第三級水素を含むポリ環状アルカン類からは同様なカルボキシル化が期待できることがわかった。さらに、アダマンタンを一酸化炭素の代わりに2,3-ブタンジオンを用いて反応を試みたところ、ラジカル触媒的なアセチル化が達成され1-アセチルアダマンタンを収率よく得られることがわかった。 これらの結果は、これまで行われてきたカルボキシル化やアセチル化に比べ反応条件や反応の選択性など大幅に凌駕し、新しい触媒的ラジカル発生法として注目されるものである。
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