研究概要 |
インターエレメント飽和結合の本質の解明に努めるために,次の5研究テーマを計画研究として設定し,各班員が実施,代表者がこれを総括した.主な研究成果は次のとおりである. 1)14族インターエレメント飽和結合の化学(玉尾皓平担当・班長) ケイ素-ケイ素結合を有するポリシランの化学を中心に14族インターエレメント結合の構造-反応性相関のデータ集積に努め,五配位ケイ素を含むジシランの合成と反応,シロール環を含むポリシランの合成と物性,環状構造で立体規制されたポリシランの立体選択的な合成と物性などの成果を得た. 2)14族エレメントの不飽和結合-飽和結合相互作用系の構築と物性(吉良満夫担当) ケイ素-ケイ素飽和シグマ結合と不飽和パイ結合との相互作用系の構築を目的として,ヘキサキストリアルキルシリル)テトラシラシクロブテンの合成と光による骨格異性化反応を見いだした. 3)カルコゲン原子間の相互作用を用いる新奇分子群の創製(古川尚道担当) イオウ,セレン,テルル間の非共有電子対の授受によるカルコゲン原子間の空間相互作用系の構築を目指し,9年度は2中心2電子系ジカチオンおよび3中心4電子系ジカチオンの生成に成功した. 4)ケイ素およびゲルマニウムのインターエレメント飽和結合化合物の合成と性質(松本英之担当) 高度に構造が規制された多環式ラダーポリシラン,ラダーポリゲルマンなどの合成と,位置選択的な酸化反応およびラダーポリシランとTCNEとの電荷移動錯体の生成を見いだした. 5)遷移金属配位子を有する超原子価典型金属化合物の合成と反応(山本陽介担当) 超原子価典型元素と遷移金属とのインターエレメント結合の系統的研究を目的とする.9年度は鉄とアンチモンとの結合をもつ化合物の構造を詳細に調べた.
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