1.目的 シリコン単体ではその網目構造の種類は限られるが、アルカリおよびアルカリ土類金属、希土類金属とシリコンとのZintl相(電気陽性金属元素と比較的弱い電気陽性元素間のインターエレメント化合物)には、種々のアニオンクラスターや一次元、二次元シリコン網目構造が含まれる。本研究では、シリコンZintl相の多様性に着目し、これを出発物質として、種々の興味ある機能性を有する新規なシリコンネットワークを誘導する。 2.研究成果の概要 (i)種々の金属原子をド-ピングしたシリコンクラスレートの合成 新たに導入した超高圧発生装置を用いて、シリコンクラスレートの合成を行った.バリウムを内包するクラスレートBa_8Si_<46>およびBa_8Ag_xSi_<46-x>(0≦x≦6)の単一相合成に成功し、前者は臨界温度8Kの超伝導体となることを見い出した.引き続き、3元系クラスレートの高圧合成を行う. (ii)金属原子を全く含まないシリコンだけのクラスレートの合成と物性研究 レーザーアブレーションによる薄膜作成装置を用い、Si_<46>の薄膜合成を試みている. (iii)層状シリコンネットワークの化学修飾 CaSi_2を出発物質として、層状ポリシランを誘導し、光ルミネッセンスを測定した.酸化物を除去した層状ポリシランでは、光吸収端と光ルミネッセンスの最強ピーク波長がほぼ対応し、バンドギャップに相当する発光が得られることを明らかにした.引き続き層状ポリシランへのインターカレーションを試みる.
|