研究課題/領域番号 |
09240211
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 智典 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (00162454)
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研究分担者 |
森 俊明 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (50262308)
江原 靖人 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40251657)
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キーワード | ガングリオシド / ガングリオシドラクトン / インフルエンザウイルス / ヘマグルチニン / シアリダーゼ / 小麦胚芽レクチン / 水晶発振子 / 生体膜モデル |
研究概要 |
スフィンゴ糖脂質の生体膜での集合構造や認識機能を評価するためには、脂質分子の存在状態や糖鎖密度が明確な生体膜モデルが必要であると判断した。そこで、気-液界面単分子膜を生体膜モデルとして用い、単分子膜界面におけるスフィンゴ糖脂質の認識機能を定量化するシステムを開発した。この様な本測定システムの特徴を利用して、スフィンゴ糖脂質含有膜の構造と糖鎖認識性に関する検討を行った。 1)ラクトシルセラミド(LacCer)は飽和脂肪酸を有するジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)膜中では均一に分布するのに対して、不飽和脂肪酸を有するジオレイルホス ファチジルコリン(DOPC)膜中では相分離構造を示した。DOPCとLacCerは結晶性が異なることから相分離構造を形成するものと考えられる。細胞表層でのスフィンゴ糖脂質のバッチ構造の形成機構を知る上で、モデル膜での糖脂質の相分離形成に関する研究は非常に有用であると思われる。 2)モノシアロガングリオシドの糖鎖配列により小麦胚芽レクチン(WGA)との結合性は大きく異なることを定量的に示した。WGAの結合親和性の順序はGM3ラクトン>GM3>GM4>>GM2=GM1であった。GM1とGM2ではWGAの結合は全く観察されず、GM1ではGal-GalNAcの側鎖がGM2ではGalNAcの側鎖が立体障害になったものと考えられる。レクチン凝集法では評価できなかったオリゴ糖鎖の認識性の序列を、本手法では厳密に評価することが出来た。 3)GM3ラクトンやGM4ラクトンとWGAとの結合性はGM3やGM4と比較して高いことを見出した。さらに、これらのラクトン体はインフルエンザウイルスのシアリダーゼにより加水分解されないが、ヘマグルチニンとは結合できることを明らかにした。
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