本研究では新しい構造のプローブを製作するため、まず有限要素法により機械的応答特性を理論的に解析した。解析においては単純なシリコン片持ちはり構造と新しく提案するシリコンねじれ振動子構造に対して、形状パラメータを変えて詳しい解析を行った。ねじれ振動周波数はシリコン微細加工において実現可能なサイズで、1MHzオーダの高い共振周波数が実現できることが示された。しかし小さい振動子の場合、ねじれ支持部分の質量のため共振周波数が低下することが示された。これらの理論解析よりプローブの構造として、ねじれ振動子構造の先端部に片持ちはり構造を組み合わせる方式を提案した。シリコンの薄膜化によりねじれ振動子型プローブをアレイ状に多数製作した。実験で測定された共振周波数は理論値によりよく説明できた。 集光機能を備えたプローブ先端部を実現するため、ねじれ振動部のい先端を尖鋭化することと、先端部の片持ちはり構造を光導波路に用いる方式を提案した。さらにプローブから外部検出器への光の伝送にについて、シリコン導波路上に形成された表面回折格子を用いた光カプラーを設計し製作した。シリコンねじれ振動子の根元部分にはエッチングにより光結合用回折格子を製作し、光ニアフィールド型プローブを実現した。 以上のように本研究では、高速応答プローブおよび光導波路型集光部を製作し、本研究の目的の大部分を達成できた。
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