研究課題/領域番号 |
09241207
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋山 英文 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40251491)
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研究分担者 |
馬場 基芳 東京大学, 物性研究所, 教務職員 (60159077)
吉田 正裕 東京大学, 物性研究所, 助手 (30292759)
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キーワード | ナノ構造 / 近接場光 / ソリッドイマージョンレンズ / 顕微 / 画像計測 / カリウムヒ素 / 量子井戸 / 拡散 |
研究概要 |
マイクロボールレンズを加工した無収差のソリッドイマージョンレンズ(SIL)を用いて回折限界を超えるサブミクロンオーダーの高い空間分解能を実現し、CCDカメラ・走査画像計測技術・および画像データ記録処理技術と組合わせてパラレル計測型の2次元分光計測システムの開発を行った。そして、この方法を半導体リッジ型ナノ構造に適用し、そこでの近接場光の分布と光学遷移を調べる研究が進行中である。SILはマイクロボールを半球型もしくはレンズ中心からr/nの高さで底面加工したレンズ(ワイエルストラス球型)で理想的には球面収差はない。これを通常の光学顕微鏡の対物レンズと組み合わせて発光画像計測を室温および低温で行った。試料には4.8mm幅のストライプ状にメサエッチングした井戸幅11nm、30周期のGaAs/AlAs多重量井戸を用いた。 最初に室温の測定を行いこのシステムの有効性を確認した。水銀ランプを分光した波長546nmの光を用いて励起し、発光像のストライプ方向に垂直な方向での発光強度断面をみると、キャリアの拡散効果のため試料の中央付近では差が見えないが、試料端において発光強度の増加が観測される。この効果はリッジ型細線構造の頂点からの発光強度の増大と共通の現象である。こうした現象が観測できたのは、SILにより高分解能での発光像が得られたためである。またN.A.の増加により発光の検出効率が8〜12倍増加したことも注目に値する。 次に低温にて顕微発光像測定をおこなった。クライオスタット内の試料上にSILを置き光学窓を通して発光像を測定した。SILを用い低温(4K)から室温までの温度変化による多重量子井戸からの発光像の強度断面が観測された。発光像の温度変化はキャリアの拡散長の変化によると考えられる。
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