1.予備実験として、誘電体基板上の金粒子における局所的プラズモンの共鳴波長の基板屈折率依存性をマクロな系を用いて測定した。直径100nmの金コロイドを屈折率の異なる2種類のガラス基板上に塗布し、乾燥させたものの吸光度を分光光度計を用いて測定した。波長560nm付近に、プラズモン共鳴による吸収ピークが現れ、屈折率の大きい基板上の方が、共鳴波長が長くなることが確認できた。 2.これまで、直径が0.5μmより大きい金粒子を窒化シリコン製のAFM用カンチレバ-のチップ先端に固定してきた。しかし、この粒径では波長と同程度であるため、明確な共鳴が得られない。そこで今回、新たに、直径100nmの金粒子を固定することを試みた。固定手順は、チップ先端をスライドガラス上に薄く塗布したエポキシ接着剤に接触させた後、別のスライドガラス上に分散させた金粒子に接触させ固定する。その結果、直径100nmの金粒子がチップ先端に固定できることが確認できた。しかし、成功率は非常に低かった。この理由は、接着剤をガラス基板上に薄く均一に塗布することが困難であることと、接着剤の硬化時間が短いためである。これらの部分を改善するため、粘性の低い紫外線硬化接着剤をガラス基板にスピンコートすることを検討している。 3.金属微粒子からの散乱光スペクトルが測定測定可能な近接場捜査型顕微鏡を試作した。タングステンハロゲンランプからの白色光をモノクロメータにより波長選択し、金属微粒子に入射する。金属微粒子からの散乱光は顕微鏡対物レンズで集められ、結像面に置かれたピンホールを通して、光電子増倍管で光電変換される。捜査はコンタクトモードまたはタッピングモードでなされる。今後、金属微粒子プローブと本光学系を用いて、さまざまな条件下で散乱光スペクトルを測定する予定である。
|