研究概要 |
1.正20面体準結晶-近似結晶非可逆相変態に関する研究:ある組成の4元系合金のMg-(Al,Ga)-Znについて、急冷によって得られる準安定正20面体相から、昇温過程で中間相の1/1近似結晶を経て安定相の2/1近似結晶に相変態し、それぞれの相変態過程で電気抵抗が変化することを見いだした。等温焼鈍過程での電気抵抗変化を測定するシステムを完成し、変態温度近辺での電気抵抗変化から変態のカイネティックスを明らかにする実験が進行中である。 2.正10角形相における規則-不規則変態過程の直接観察:Al-Co-Ni正10角形準結晶が、低温の規則相から高温の不規則相に可逆的相変し、その変態が原子クラスターの配列の変化によるトポロジカルな規則化であることを、数年前に枝川と竹内が発見した。その変態過程を高温ステージを用いて電子顕微鏡内で直接観察すべく、徐冷法え単準結晶を作成し、10回軸に垂直な面で試料を切り出して薄膜試料を作成した。東京大学総合試験所の共同利用設備である高温ステージを持つ高分解能電子顕微鏡が平成10年1月から利用できるようになったので、実験を開始した。 3.新しい準結晶-近似結晶相の開発:従来のAl-Pd-(TM)(TM:遷移金属)3元系の準結晶合金のTMを2種類の遷移金属に置き換えた4元系の新しい準結晶を探索している。その中で、Al_<70>Pd_<20>Cr_5Fe_64元系合金で、高温で正10角形準結晶相、低温領域でその高次近似結晶相が安定となることを見いだした。この新しい準結晶-近似結晶可逆的相変態をする形についても、その変態過程の詳細を研究する計画である。
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