研究概要 |
本研究では,界面領域の強度や構造が大きく異なるC/C複合材料を,同一の考材をもとにして焼成温度のみを変えて作製し,高倍率のマイクロスコープを試験機と組合せ,アロイ化した界面構造と微視的な破壊挙動の関係をその場観察することにより,界面アロイ構造が切欠き材の破壊機構に及ぼす影響を系統的に検討することを目的とする.また,微視的な破壊のプロセスを考慮に入れた修正シェアラグシミュレーションにより,破壊過程の再現を試み,メゾレベルで力学応答を記述することを試みる.本年度の成果は次のように要約される. (1)破壊機構を界面のアロイ化構造との関連において系統的に検討:焼成温度(HTT)を1600,2500,3000℃と選択することにより,HTTが2500℃以上ではストレス配向による界面構造・強度の変化が観察された.これに伴い,切欠き材の破壊機構も変化し,界面強度が強い(HTT1600℃)の場合はリガメントが8mm(織り目の2倍)を超えると切欠き効果が認められるのに対し,界面強度が弱い(HTT3000℃)場合はリガメントが長くなっても正味断面応力基準で整理できた.微視的な損傷の発生と進展は,上述の破壊機構と非常によく対応することが明かとなった. (2)メゾメカニックスによる破壊過程の再現:シェアラグシミュレーションにおいてマトリックスも軸応力を負担し,はく離を考慮した修正解析を行った.計算結果は焼成温度による切欠き効果の違い(破壊基準の違い)をよく説明した.また,モデルでの各要素の微視的な破壊プロセスも,実験とよく対応することが明らかになった.
|