研究概要 |
これまで、色々な種類の黒鉛材料を用いて酸、アルカリ雰囲気下での耐性を気相、液相、固相で研究して来た。今回は黒鉛材料の対酸化性の改良を視野に金属との関連で研究した。空気中に於ける耐酸化性を黒鉛材料に東洋炭素(株)製の等方性黒鉛1(IG-1T)、等方性黒鉛2(IG-2R)、高黒鉛化等方黒鉛(IG-3Q)、高電気抵抗性等方性黒鉛(IG-4U)、高密度等方性黒鉛(IG-5S)、超高密度等方性黒鉛(IG-6P)を用い、金属粉末にはV、Fe、Co、Cu、Zn、Sn、W、Pbを用い、加熱温度650℃で保持時間3時間で行った。 結果は3つのタイプに分けられた。第1はIG-1Tで、鉛により重量が13.5%減少したが、それ以外の金属では1%以下であった。第2はIG-2R、IG-3Q、IG-4Uで、鉛により重量が14-19%減少したが、それ以外の金属では2-6%の減少だった。第3はIG-5SとIG-6Pで、鉛により重量がそれぞれ12%と1.1%減少し、Zn,Cu,W、Vでも10-13%減少した。 このように空気雰囲気での黒鉛材料の行動は多様性があり、金属粉を加えると多様性が更に増す。鉛は黒鉛材料の酸化を促進する。しかし材料の種類によっては見かけ上、耐酸化性が増すのが観察されている。また他の金属、例えばスズなどでは金属は内部への空気の侵入を妨害する。その結果、耐酸化性が増す。 今後、これらの性質を生かし、黒鉛材料と金属の関係の再点検を進め、炭素材料の耐酸化性向上への寄与を計画している。また炭素材料と金属鉛の混和物は潤滑性の向上する。その方面の研究も計画している。
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