研究概要 |
本研究班の目的は、III-V、II一VI族希薄磁性半導体およびシリコン系半導体の超構造を形成し、その量子磁気光物性の開拓、科学種依存性、磁性・輸送現象の解明を行うとともに、スピンの量子ダイナミクスなどの基礎理論を確立することである。このため、磁性イオンを含む半導体の超構を設計・作製し、発現する新奇な磁気物性、磁気光学機能を探索・創出し、その理論的解明を行った。得られた成果は以下のとおり。 ・II-VI族希薄磁性半導体をベースとした1次元、ゼロ次元量子構造を電子線リソグラフィや自己組織化法により作製し、磁気光学効果、磁性イオンとの交換相互作用、トンネル効果、超高速スピン緩和等についての新しい知見を得た。 ・強磁性半導体(Ga,Mn)Asのキャリア濃度制御とMn以外の遷移金属を含んだ新しい磁性半導体の創生を行った。Snドープによりn型の(Ga,Mn)Asを作製し、キャリア制御が可能であることを示した。さらに、強磁性の発現にはホールが不可欠であることを示した。また、Cr,Fe,Co等のどーピングを試み、5%程度までドーピング可能なことを示した。 ・高不純物(Mn)濃度のSiをレーザーアブレーション法や光熱励起CVDにより成長した。これらの方法により、従来より4〜5桁高い濃度のSi : Mn薄膜の形成が可能となった。 ・磁性半導体InMnAsに対して、光誘起磁性を確認した。また、分子線エピタキシ法により常磁性GaFeAsおよびGaAs : Feグラニュラー複合構造を作製し、GaAsへの高濃度のFeドーピングを実現するとともに、その物性を明らかにした。
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