研究概要 |
スピン・軌道・電荷が複雑に結合した系が近年実用の上からも関心がもたれてきた。Mnぺロブスカイト系もその一つであるし、ZnMnSやZnMnSe系あるいはGaAsにMnがわずかに入った系も興味がもたれている。これらの電子状態の研究は光電子分光・逆光電子分光・内殻吸収磁気円偏光2色性・光電子放出の磁気2色性測定などで行われる。 はじめに我々が測定したのNd_<1-X>Sr_XMnO_3(NSMOと略す)Mnプロブスカイト系である。この系は金属絶緑体転移、電荷整列、磁気相転移を示すとても興味ある物質である。まず放射光を用いて2p内殻3p内殻共鳴電子分光を高分解で温度を変えて行った。試料はこれまで行ってきたファイリングが結晶に歪みをもたらし電子状態が変わってしまう事を考慮してへき開または破断で行った。その結果両物質でフェルミ準位近傍の電子状態に顕著な差がある事が分かった。またX=0.47の組成では電荷整列に伴うスペクトル変化も観測された。れた。すでに我々れはLa_<1-X>Sr_3MnO_3(LSMOと略す)について内殻吸収磁気円偏光2色性の測定に一部成功しており、それによればLa4F,La5dさらにO2p状態も磁性に寄与している。そこで我々はNSMOの複雑な磁性を調べるために各種の内殻吸収磁気円偏光2色性の総合的な測定を準備中である。 逆光分子分光についてはX線領域と真空紫外領域の双方について測定を進めている。これは希土類の4f,5d,Mnの3d、酸素の2pなどの励起断面積が電子線エネルギーに依存するためで、総合的理解のためには電子エネルギーを広くとる必要があるためである。またスピン偏極逆光電子分光装置も立ち上がり現在キャッピングして持ち込まれた磁性超格子のクリーニングを行っている。引き続きGaMnAs系についての測定を行う。
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