近年、カーネルの発展性(extensibility)に関する要求が高まっている。新しい概念のハードウェアの出現や様々な応用プログラムの需要に応えるためには、発展性のあるカーネルが必要なのである。既存のカーネル発展機構には、マイクロカーネルとカーネルモジュール取込み(lkm:loadable kernel module)とがある。今年度の研究では、前者には発展部実行時の処理効率に、後者には発展部開発時の安全性に、それぞれ問題があることを明らかにした。また、これらの欠点を補った保護付きモジュール取込み(plkm:protected loadable kernel module)の概念を提案した。今後、本研究では、保護付きモジュール取込みの得失および実現法を考察し、最終的にはその実現を試みる。さらに、モ-バイル環境で多用される複製ファイルの間での一貫性を維持するプログラムを対象にして、保護付きモジュール取込みに要求される機能などについても考察する。
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