研究分担者 |
長島 順清 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90044768)
羽澄 昌史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20263197)
田島 宏康 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (80222107)
渡辺 靖志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40126199)
原 隆宣 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70283827)
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研究概要 |
KEKのBファクトリーは、平成11年6月以来順調に運転を続け,その結果,我々の実験グループ(Belle)は約1千百万個のB中間子-反B中間子崩壊事象を記録した。我々は,本科研費によって購入したデータ解析用サーバーを用いて解析を進め,平成12年7月に大阪で開催された第30回高エネルギー物理学国際会議で,(1)B中間子崩壊におけるCP非保存対称性の最初の測定結果,(2)B中間子寿命の精密測定,(3)B中間子-反B中間子混合の測定(4)チャーム中間子の寿命と粒子-反粒子混合を発表した。特に,B中間子崩壊におけるCP非保存対称性の測定結果は,素粒子物理学会において最も注目されている測定の一つであり,我々の測定結果, sin2φ_11=0.45^<+0.43>_<-0.44>(stat.)^<+0.07>_<-0.09>(syst.)は,その測定の信頼性について高い評価を受けた。 さらに,平成13年2月には,これまでの全データを用いた最終結果をアメリカ物理学会誌に投稿し,掲載された。その値は,sin2φ_1=0.58^<+0.32>_<-0.34>(stat.)^<+0.09>_<-0.10>(syst.)であり,約95%の信頼度で,B中間子崩壊においてCP対称性が破れていることを示した。今後,より多くのデータが蓄積されるにつれ,このCP非対称が,素粒子物理の標準理論の期待する値と等しいかどうかの精密なテストが可能になる。もし,標準理論の期待値と矛盾すれば,新しい物理の存在を示唆することになる。このように,B中間子崩壊におけるCP非保存の研究は,素粒子物理の最先端である。 本科研費研究の第2の目的である第2世代のシリコンバーテックス検出器の開発も予定通りに進展し,本特定領域最終年度である本年度中に,すべての開発項目を完了した。これに基づき,第2世代シリコンバーテックス検出器実機の設計を終了させた。
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