大量データを高速にて処理することは高エネルギー実験において必須事項であり、本研究では、VMEバスを用いた高速データ処理システムの開発を、具体例として、次世代バ-テックス検出器の候補として有望なCCD素子の読み出しに適用して行った。 CCD素子は数百kから数Mピクセルよりなり、各ピクセル情報はシリアルに出力されが、それら大量データをビームの繰り返しの周期内で取り込み、処理する必要がある。 本年度、CCD出力をMHzをこえる高速ADCにてデジタル変換し、VMEボードコンピュータ+リアルタイムOSの構成を作り上げ、実際に ・2Mbytes/secのthroughput を実現した。この数字は、現行巨大加速器実験である、LEP実験等における処理能力に匹敵する。 このシステムを用い、筑波にある高エネルギー加速器研究機構において、実際に高エネルギービームへの照射実験を2回にわたりおこない、CCD素子中に形成される飛跡を、世界で初めて、常温下にて認識させることに成功した。また、その結果、ピクセルサイズ24μmのCCDについて、位置分解能3.0μmを達成した。この値はCCD飛跡検出器として低温下にて運転中の最先端実験である米国SLD実験での達成値4.6μmを凌ぐ値である。
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