本研究はソフトウェアイベントビルディングにより、BELLE実験のデータ収集系を簡素化し、性能を向上することを目的としており、3年計画により達成する予定である。本年度はまず検出器それぞれのデータ収集システムからソフトウェアイベントビルディングを行なうサーバーまでの、データ転送システムの開発を行なった。このデータ転送を標準プロトコルであるTCP/IPを用いて行うことが目標の1つであったが、これにはFastEthernetを使用することで実現した。FastEthernetのインターフェースを持ったCPUモジュール(モトローラMVME-2604)の3つのテスト用のVMEクレートに挿入し、それぞれのクレートからのネットワーク出力をFastEthernetスイッチをはさんでワークステーションに接続し、その転送速度を測定した。CPUモジュールにはオペレーティングシステムとして別途購入したWindRiver Systems社のVxWorksを使用した。現在迄にそれぞれのクレートからワークステーションまでの1対1での転送速度を測定したが、平均8MB/sec以上の値が観測された。これは現在使用しているハードウェアイベントビルダーの2倍以上の速度であり、計画中の方式によりデータ転送が可能であることが実証された。現在は3つのクレートより同時にデータを受取り、イベントビルディングを行うソフトウェアの開発が進行している。
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