研究概要 |
バイオマスの有効利用の一環として、今年度は木材から特定の有用物質を取り出した後に生成するチャーやタールを完全にガス化することを目的とした。そのため、チャやタールは高温においても固体であることから、1.触媒を液状の溶融塩とし、2.これらの構成成分の中でも炭素のガス化が最も困難と思われることからCとCO_2とのBoudauard反応を利用し、3.この操作を連続的に行うために触媒の活性が低下しないことを確かめた。 1.溶融塩の触媒効果 アルカリ金属炭酸塩Li_2CO_3,Na_2CO_3,K_2CO_3の共融混合物(融点396〜851℃)を触媒とした。炭素質としてのグラファイトに、融点の異なる3種類の触媒を、反応器に入れる前に物理的に混合した場合および含侵法で担持し、700℃で反応を行った。含侵法の場合3種の触媒いずれも反応した。物理混合の場合には、触媒の融点が反応温度より低い場合には反応したが高い場合には反応しなかった。従って触媒の融点を反応温度より低くすれば、単なる物理混合でも触媒は炭素質の内部に拡散、分散して触媒作用を示すことが分かった。 2.Boudauard反応 アルゴンを流しながら昇温し、反応温度の700℃に達してからCO_2を120分間流しと後、再びアルゴンのみとした。CO_2を流した時の反応速度は、アルゴンのみの場合の約8倍であり、またCO_2を連続的に流した時の反応速度とも一致した。これより、触媒がCO_2とCのBoudauard反応が起きることが分かった。 3.触媒の反復利用 溶融状態で触媒を使用した場合に触媒劣化がないことを確かめるために反復実験を行った。触媒が連続相となる状態で活性炭を入れCO_2とすべて反応させた後、再び同量の活性炭を加え反応を行った。1回目と2回目の結果は良く一致し、触媒の活性低下がないことを確かめることができた。
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