本年度の研究実績は以下のようにまとめられる。 1.まず研究を遂行する上で必要となる学術書、統計データの収集を行った。特に統計データの整備状況から、研究対象地域は当面愛知県全体と設定した。これは研究計画書段階では愛知県豊橋市を中心とした東三河地方を対象地域としていたが、公表されている社会経済データがら東三河地方のデータベースを作成することに、多大な時間がかかると判断したためである。 2.対象地域を愛知県全体とすることにより、産業連関表、県民経済計算などの基礎データの利用が直接的に行えた。1994年の愛知県の経済データ、廃棄物データを用いて、34産業部門、35廃棄物除去活動部門、家計、政府、県外部門、廃棄物発生行列からなる廃棄物-経済会計行列を作成した。 3.廃棄物-経済会計行列の数値は、経済が均衡状態にあり、その元で実現したものと仮定することにより、一般均衡モデルを作成することができる。これが廃棄物-経済応用一般均衡モデルである。本年度はモデルの基本プログラムを作成することができ、廃棄物-経済会計行列の推計結果と合わせ、重点領域研究最終成果発表会において発表した。 4.なお廃棄物-経済会計行列の推計は数ヶ月を要するため、その間モデル開発を同時に行い、既存研究で得られている北海道のデータを用いてモデルの特性をチェックした。それらの研究成果は環境科学会、土木学会、国際地域学会などで発表した。 5.以上のように、本年度の研究進捗状況は極めて順調であり、来年度はゼロエミッションの実現可能性に向けた数多くのシミュレーション分析を行って行く予定である。
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