高等植物におけるCd解毒機構の鍵を握る酵素と予想される(r-EC)nG合成酵素がカルボキシペプチダーゼ(CPase)である可能性が、当研究室におけるこれまでの研究で分かってきた。本研究では、これをさらに確実なものとするため、外来(CPase)遺伝子を植物に導入し、それによる(r-EC)nG合成能および重金属耐性能の付与について検討した。 方法 イネのCPaseI遺伝子をpEGIのCaMV35Spromoter下流域に組み込み(pEGI-CPase)、これをE.Coliに導入した。この形質転換E.Coliは、pEGIの選択マーカーであるアンピシリン耐性を用いて選抜した。また、pEGI-CPaseをエレクトロポレーションによりタバコ培養細胞BY-2のプロトプラストに導入した。この形質転換植物体はpEGIの選択マーカーであるカナマイシン耐性を用いて選抜した。この遺伝子導入BY-2をpH8.50.1MTris-HCIで抽出し、これに10mMGSHを添加して30℃で2時間インキュベートした。その後、その反応液中における(r-EC)nGをDTNBポストカラムラベル法により測定した。 結果 遺伝子導入タバコにおいて(r-EC)nGの生成が確認された。非導入E.Coliでは(r-EC)nGは全く生成されないか、生成されてもごくわずかであった。以上の結果から、CPaseが植物体内において(r-EC)nG合成に寄与していることが認められた。今後得られた形質転換植物を用いてカドミウム耐性を検討すると同時に、これらの植物を用いたファイトリメディエーションについて検討を進める必要がある。
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