研究課題/領域番号 |
09248233
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
前田 滋 鹿児島大学, 工学部, 教授 (90041566)
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研究分担者 |
中島 常憲 鹿児島大学, 工学部, 教務職員 (70284908)
大木 章 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (20127989)
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キーワード | アンチモン / クロレラ / 玉ミジンコ / 大ミジンコ / 耐性 / 生物濃縮 / 生体内変換 / 毒性軽減 |
研究概要 |
我が国では難燃性の付加が要求されるほとんどすべてのプラスチック・ゴム・繊維製品(OA機器や家庭電化製品)に、難燃剤とともに三酸化アンチモンが配合されており、この三酸化アンチモンは回収不能であるので、三酸化アンチモンの環境中への蓄積は年々増加しているものと推測される。 ヒ素の水環境指針値(0.01ppm)よりも厳しい値が与えられたアンチモン(0.002ppm)について、自然界に放出された場合の環境中での挙動とその影響を解析するために、淡水生物への影響、生物濃縮、食物連鎖を介しての生体内変換挙動を研究した。 クロレラ(Chlorella vulgaris)と第二栄養段階生物である2種のミジンコ(玉ミジンコMoina macrocopa,大ミジンコDaphnia magna)の生育への影響を検討した結果、3価、5価の無機アンチモン化合物は、3価、5価の無機ヒ素化合物のそれぞれと比べて、毒性はむしろ小さいことが分かった。 クロレラに取り込まれたアンチモンは、クロレラ細胞のタンパク質に結合した形態と、細胞質中に五価の無機アンチモンの形態で存在していた。 クロレラ→ミジンコの食物連鎖過程でアンチモンの生体内濃度は減少し、食物連鎖を介してアンチモンの蓄積が増加する現象は見られなかった。 クロレラは、水相から取り込んだ3価のアンチモンを、毒性が数十分の一である5価のアンチモンに変換して、速やかに排出する能力があり、またアンチモンを取り込んだクロレラを摂取したミジンコも、アンチモンを蓄積せず排出するので、これら供試した淡水生物はアンチモンの環境負荷の軽減化に寄与できることが分かった。
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