研究課題/領域番号 |
09248235
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
関口 睦夫 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00037342)
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研究分担者 |
下川 英俊 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (50122792)
伊東 理世子 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (10140865)
真田 正幸 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40084264)
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キーワード | 活性酸素 / 遺伝子障害 / 酸化塩基 / 突然変異 / 変異タンパク / DNA修復 / 遺伝子 / 塩基置換 |
研究概要 |
細胞の正常の代謝過程で生じる活性酸素は種々の生体分子を傷つけるが、とりわけ生物の遺伝物質であるDNAとその前駆体に対する作用は重大である。これらの物質が傷つけられると遺伝情報が変化し、結果的に突然変異や癌が引き起こされるからである。このような危険から生物を譲っているのが、酸化によってできる異常塩基8-オキソグアニンの排除系である。大腸菌のミュータントを用いた研究の結果この過程には少なくとも3つの遺伝子(mutT,mutM,mutY)が関わっていることが明らかになった。そのホモログは哺乳動物にも存在するが、ここではmutTのホモログであるヒトとマウスのMTH1を中心に研究を行った。 MTH1でコードされるタンパク質は8-oxo-dGTPを8-oxo-dGMPに分解する活性をもち、それによって8-オキソグアニンがDNA中へとり込まれるのを防いでいる。もし8-オキソグアニンがDNAへとり込まれるとその結果トランスバ-ジョン変異が引き起こされるからである。ヒトの遺伝的背景によってMTH1に違いがないかどうか調べたところ、ある家系では塩基置き換えがあり、その結果83番目のValがMetに変化することがわかった。この変異型タンパク(Met^<83>)は正常型(Val^<83>)に比べ熱により不安定で、かつ種々の物理化学的性質に違いがあることがわかった。ヒトの各組織におけるMTH1遺伝子の発現を調べるため、遺伝子の構造について詳しく解析した。その結果MTH1遺伝子からつくられるmRNAには7つの型が存在することがわかった。それらは転写開始の部位とスプライシングの違いによってつくられるが、ヒトの集団中には塩基置換の結果スプライシングが変化し特定のタイプのmRNAをつくることができないものがあることがわかった。
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