研究概要 |
1)相互作用タンパク質の検索 COP1タンパク質とin vitroで相互作用するタンパク質として単離しているCIP7タンパク質遺伝子は、光によって発現が誘導される遺伝子であり、またcop1変異株では、暗条件でも発現が観察されることからCOP1遺伝子の下流に位置すると考えられた。また、 この遺伝子をアンチセンスで発現した形質転換した植物では、cab,rbcSといった光誘導性遺伝子の発現がともに減少していることからこのタンパク質は、光誘導性遺伝子の転写活性化因子として働いていることが示唆された。またこのことは、この遺伝子とGAL4のDNA結合領域を結合して、GAL4認識部位をプロモーター領域に持つGUSレポーターを用いたin vitroの実験系の酵母細胞中や、植物での一過的な発現実験でもこの遺伝子が転写活性化因子として働くという結果が得られた。 2)既存遺伝子との相互作用 胚軸の伸長に関与していると考えられるAthb-2遺伝子がCOP1遺伝子とどのような関係にあるかを解析した。この遺伝子は野性株において明所に比べて暗所で発現が観察された。しかしcop1変異株においては、暗所における発現が減少していた。この事は、Athb-2遺伝子がCOP1遺伝子の制御下にあることを示唆していた。この遺伝子は、形質転換植物の研究から胚軸伸長に関係していることが示唆されている。そこで暗所における胚軸伸長率と遺伝子の発現形式について調べてみたが、伸長率の極大になる発芽後、2,3日において発現の増大は見られず、7日間を通じて一定であった。この事はこの遺伝子が暗所における胚軸伸長よりも、近赤外光による胚軸の徒長に関係していることが示唆された。
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