BXH-2マウス骨髄性白血病におけるcommon retroviral integration siteであるEvi-9 locusから責任遺伝子を同定した。Evi-9 locusを含むBACクローンを単離し、ここからexon trappingによって単離されたexon候補をプローブとして、組織での発現様式を調べた。Integration siteに近接する2つのexonが、脳、脾臓、精巣、胎児組織に豊富に発現しており、マウス胎児cDNA libraryをスクリーニングしてcoding region全長を含むcDNAクローンを単離した。 Sequence解析から、Evi-9遺伝子はC2H2 typeのsingle及びdouble zinc finger domain各1個を含む773アミノ酸から成る未知の蛋白質をコードすることが示された。Alternative splicingにより1.4-10kbの4種類のtranscriptが存在し、3種類の蛋白のisoformがコードされる。Evi-9蛋白は、drosophilaの核蛋白質とhomologyを有し、転写因子或はそのco-factorである可能性が示された。Zinc finger domain間にはprolineに富む領域が、C末端側にはacidic domainが存在し、これらが転写活性の調節に関与している可能性も考えられた。 BXH-2白血病でEvi-9locusにretroviral integrationのあるものにEvi-9の発現亢進が認められ、この遺伝子がdominant oncogeneとして機能していると示唆された。一方、マウス骨髄性白血病M1のようなintegrationを持たない細胞株の中にもEvi-9が強く発現しているものがあり、Evi-9が白血病一般において生物学的意義を持つ可能性が示された。
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