研究概要 |
1.結果 対象はHCV抗体陽性の肝癌患者20例。HSsAg,HBsAb,HBcAbを同時に評価した。これらの症例に対し行われた肝切除時に肝組織を採取した。癌部・非癌部の組織からDNAを抽出した。 (1).HBVDNAのpreS,S,X,preC,Core領域に特異的なオリジナルプライマーをそれぞれ作成した。Nested PCRを行い、アガロースゲル電気泳動によりHBVゲノムの検出を行った。 (結果)HBc抗体陽性例では80%に、Hbc抗体陰性例では10%にプライマーセットにて陽性となった。 (2).HBVのX,S領域それぞれに対するプローブを作成し、サザンブロットを行った。 (結果)検出陽性率は以下のごとくであった。 HCV抗体のみ:0/4、HCV抗体陽性・Hbc抗体陽性:0/3、HCV抗体陽性・Hbc抗体陽性・Hbs抗体陽性:0/3、Hbs抗原陽性・HCV抗体陽性:2/2、HCV抗体陽性・HBVマーカー不明:0/2 2.考察 現在、肝細胞癌症例の70-80%がHCV抗体陽性であり、HCVが肝発癌に深く関与していることはほぼまちがいがないが、その機序については現在まで解明されていない。 今回の検討から、HCV関連慢性肝疾患において、発癌群でHBc抗体が高率に認められるという事実は、その発癌過程においてHBVの何らかの関与を示唆するものと考えられる。 今回の結果からは、HCV抗体陽性肝癌においては、HBs抗原陰性例では、genomicsサザンにてHBウイルスは検出されず、モノクローナルにintegrateされていると考えられた。
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