1.抗XPAモノクローナル抗体を作成した。そのうち2クローンは、紫外線照射SV40ミニクロモソームを基質とした試験管内修復反応と、プラスミドDNAの特定の一か所にシスプラチン付加体をもつ基質を用いたインシジョン反応を阻害した。これらの抗体は、XPAの損傷DNAへの結合は阻害しなかったが、RPAおよびERCC1との結合を阻害した。以上の結果より、XPAとRPA、ERCC1との結合は、ヌクレオチド除去修復(NER)の反応過程において重要な役割を果たしていることが示唆された。 2.GST-XPA融合蛋白質を用いたpull-down実験で、XPAが紫外線照射DNAと結合したときに、より多くのTFIIHが結合した。この結合がDNAを介したものでないことは、DNAとは結合できるがTFIIHとは結合できないC末端欠損XPAにより確認できた。 3.酵母two-hybrid systemによる検索で得られた新規XPA結合蛋白質XAB1は、GTPase活性を有していた。抗XAB1抗体の細胞へのマイクロインジェクションや試験管内修復反応系への添加、XAB1の大部分を除いた条件での試験管内反応の結果より、XAB1はNER反応には直接関与しないことが示唆された。XAB1はXPAのN末端から57アミノ酸残基内に結合することがわかった。この領域は、XPAの修復機能には必須ではないが、核移行に関与するシグナルを含む領域である。 4.XPA遺伝子欠損マウスに紫外線を照射して発生させた皮膚癌組織より細胞株を5株樹立した。これらすべての株は、紫外線照射後の不定期DNA合成がみられないことからNER能の欠損は確認されたが、XPA遺伝子欠損マウス由来の線維芽細胞にくらべると紫外線抵抗性を示した。また、3株において、p53遺伝子の変異が検出された。変異はすべてG・C→A・Tトランジションで、紫外線による変異と考えられた。
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