研究課題/領域番号 |
09253236
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
関 周司 岡山大学, 医学部, 教授 (50032884)
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研究分担者 |
サルカー A.H. 岡山大学, 医学部, 助手 (20284060)
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キーワード | 修復酵素 / グリコシラーゼ / APリアーゼ / チミングリコールDNAグリコシラーゼ / ウレアDNAグリコシラーゼ / エンドヌクレアーゼIII / マウス / ヒト |
研究概要 |
細胞のDNAは、物質代謝、環境化学物質、放射線等で生じたフリーラジカルでたえず損傷を受け、多様な損傷塩基を生じている。これらの損傷が正しく修復されないと突然変異、発がんにつながる。本研究は、フリーラジカルで損傷されたDNAに多く見られる損傷ピリミジン塩基の修復開始に主役を演じていると推定される大腸菌のエンドヌクレアーゼIIIの哺乳類ホモローグ(以下NTH1と略記)について研究することを目的とした。今年度の研究成果は以下のように要約できる。1.ヒト及びマウスNTH1のcDNAと遺伝子をクローニング(単離)し塩基配列を決め、DNAデータベースに登録した(登録番号:ヒトとマウスのcDNAはそれぞれAB001575、AB006812)。2.得られたcDNAを用い、エンドヌクレアーゼIIIを欠く大腸菌で組み換えタンパク質を発現し、これから精製した発現タンパク質(マウスのエンドヌクレアーゼIII同族体)の酵素学的性状を解析した。3.発現タンパク質はエンドヌクレアーゼIIIと同様に、チミングリコールDNAグリコシラーゼ活性、ウレアDNAグリコシラーゼ活性、APリアーゼ活性などを示した。4.NTH1は損傷ピリミジン塩基を除いたのちに3′側に一本鎖切断を入れるが、その結果生じた5′ブロックは我々がすでに報告しているAPEXのようなAPエンドヌクレアーゼで除かれて修復されると推定された。5.マウスとヒトのNTH1遺伝子をクローニングし、塩基配列を決めた(マウス遺伝子のデーターベース登録番号:AB009371)。ヒト、マウスともに、そのNTH1遺伝子は約6000塩基対で、6つのエキソンから構成されており、その上流に結節性硬化症に関係する遺伝子の一つTSC2遺伝子が5′-5′の配置できわめて近接して存在していることが明らかになった。今後、本酵素(異常)の遺伝情報維持機能や発がんとの関係を究明したい。
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