研究概要 |
大腸菌のrpsL遺伝子を含むプラスミドpSSWをクロモソームに組み込んだHITECマウス(9週齢♀)を用いて実験を行った。マウス用固形飼料を粉末とし、水を混ぜ、ペースト状にし、終濃度0.02%Trp-P-2を加えたえさ、0.02%Trp-P-2+3%クロロフィリン-キトサンを加えたえさ、およびこれらを加えなかったものの3種類のえさを調製した。1群3匹づつ、それぞれのえさを8週間経口投与した。このマウスから各臓器を摘出し、DNAを抽出して、変異検出用のサンプルとした。まず、腎臓DNAの分析を行った。大腸菌に導入後、ストレプトマイシン耐性を指標としてrpsL遺伝子の変異体コロニーを選び、変異頻度を測定した。その結果、発がん物質を含まないえさを与えたマウスの脾臓DNAの変異頻度が11.7±4.1x10^<-5>だったのに対し、Trp-P-2のみを与えたマウスでは、19.0±3.6x10^<-15>まで上昇した。Trp-P-2とクロロフィリン-キトサンを同時に投与したマウスでは、変異頻度は、7.1±4.9x10^<-5>まで減少した。 太陽光照射は、背中の毛を剃ったHITECマウスを小さめのケージに入れて、一週間行った。毎日、日焼け計の読み、MEDが3になるまで照射した。UVB照射は、300nmに出力のピークを持つトランスイルミネーターを用いて行った。照射したマウスから皮膚をとってDNAを抽出し、フォトプロダクトの生成量を測定した。その結果、マウスによりばらつきはあったが、シクロブタン型ダイマーが検出された。同様に毎日MEDが3になるまで一週間UVB照射を行ったところ、ほぼ同様のシクロブタン型ダイマーの生成が観察された。一方、6,4型のフォトプロダクトは、UVB照射では、少し生成したが、太陽光照射ではほとんど生成していなかった。
|