1.エロンガンのin vivoの機能の解析 エロンガンの機能を個体レベルで検索することを目的として、酵母ゲノムのスクリーニングにより酵母のエロンガンA、C遺伝子を、次いでヒトのエロンガンB、CをBaitとして用いたTwo-Hybridスクリーニング法によりショウジョウバエのエロンガンC、Bの遺伝子を単離した。続いて、エロンガンA、C両遺伝子を破壊した酵母の変異株を作製して表現型を詳細に調べたが、野性株との間に明らかな差異を認めなかった。また、酵母にはエロンガンBとVHLのホモログの遺伝子が存在しないことが明らかとなった。 2.エロンガンA結合蛋白の同定 エロンガンAのN末端(アミノ酸配列1-110)には、転写伸長因子SIIのN末端と56%の相同性を有する配列が存在する。GSTとこの領域とを融合させた蛋白をプローブとして用いて、これら両配列がRNAポリメラーゼIIホロ酵素と結合することを証明した。 以上の結果より、エロンガンによる転写伸長の制御とVHL発癌との結びつきを解明するためには、より高等な生物を用いる必要があると判断し、マウスのエロンガンA遺伝子をコンディショナルな遺伝子ターゲティング法により破壊し、その機能を個体レベルで解析することにした。これまで既に、マウスのエロンガンA遺伝子を単離し、その構造を解析している。さらに、エロンガンによる転写伸長活性化の機構を解析するために、エロンガンAとRNAポリメラーゼIIホロ酵素とを仲介している因子を同定することにした。
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