研究課題/領域番号 |
09254213
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金ヶさき 士朗 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012767)
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研究分担者 |
小林 園子 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (00013764)
松本 良二 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20272495)
布井 博幸 熊本大学, 医学部, 講師 (50218260)
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キーワード | 好中球 / スーパーオキシド / シトクロム / Bリンパ腫 / ALCL / Tリンパ腫 / ホジキソ病 / CD30 |
研究概要 |
好中球や好酸球、単球、マクロファージは異物貪食時や刺激によりスーパーオキシドを産生し細胞外に放出する。この産生には形質膜のシトクロムを構成する2種の蛋白質(gp91-、p22-phox)と細胞質の2種の蛋白質(p47-、p67-phox)が関与する。先に報告したように、これらの蛋白質は末梢血やリンパ節のB リンパ球や多くのBリンパ腫にも発現しており、実際に刺激によりスーパーオキシドと産生する。我々はこの産生系の構成蛋白質が、ホジキン病リンパ腫やTリンパ腫と考えられる一部のCD30陽性細胞(ALCL)に存在することを、抗体を用いた組織化学的方法により示し報告してきた。本研究では Tリンパ腫特にCD30陽性細胞を中心について調査を進めた。後に実際にホジキン病とCD30陽性皮膚Tリンパ腫を発症した患者から、異なる時期に樹立された同一クローンからなるALCL3種(PB-1、2A、2B)について、検討を行い、後期のアグレッシブな状態での皮膚結節から分離した2A、2B株についてはp67が発現していることを先に見いだした。そこでこれについてさらに詳細に検討したところ、p67の発現している細胞は2Aでは10-30%、2Bでも40%以下に止まった。またこれらの細胞ではシトクロムやp47の発現は見られなかった。さらにATL患者由来のCD30陽性のTリンパ腫や、その他の株化されている細胞について、先の4種の蛋白質の発現について検討したが、いずれの細胞においてもこれらの蛋白質の発現は見られなかった。シトクロムなどスーパーオキシド産生系の蛋白質を発現しているCD30陽性のALCLは主として形態学的に同定されており、Bリンパ球由来の可能性も否定できないので、なお検討を要する結果となった。
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