ベイシジンとGSTの融合タンパク質を作成し、これを免疫して抗ベイシジン抗体を作成した。この抗体を利用したアフィニティー精製により、ベイシジンを単離した。ベイシジンをミクロタイタ-プレートに結合させ、これにGST-ベイシジンを作用させ、抗GST抗体による検出でベイシジンとGST-ベイシジンのホモフィリックな結合を証明した。ベイシジン遺伝子Bsgをノックアウトしたマウスを常法によって作成した。Bsg(-/-)胚は着床前までは正常に発生したが、着床の段階で大半が失われた。着床時の胚盤胞と子宮内膜にいずれもベイシジン遺伝子が強く発現していることがin situハイブリダイゼイションの結果明らかになった。この段階を通過した少数の胚は発生を続け、成体マウスとなったが、雄、雌、共に不妊であった。雄では第一次減数分裂の段階で精子形成が抑えられていた。雌では卵のin vivoの受精能がほとんど認められなかった。ヒト大腸癌120例の検体を用い、ノザンブロットにより糖タンパク質のコアタンパク質MGC-24の発現を調べた。癌部に於てMGC-24の発現が低下し、この低下度合いはリンパ管浸潤能と関連した。新たなスルフォトランスフェラーゼをcDNAクローニングし、これをCOS細胞にトランスフェクトし、細胞表面抗原の出現をFACSで検索した。その結果、このスルフォトランスフェラーゼはスルフォルウィスX構造の合成に関与することが明らかになった。今後、癌における発現、転移能との相関の解析が興味深い。
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