ATL細胞の臓器浸潤とin vovo増殖におけるOX40の役割について検討した。 (1)新鮮ATL細胞におけるOX40発現 17例のATL患者から末梢血単核球またはリンパ節細胞を分離し、FACSにてOX40およびgp34の発現を調べところ、17例中15例で特別な刺激なしにOX40の発現を認めた。OX40のリガンドであるgp34は全例で陰性であった。リンパ節と皮膚病変部の生検標本の免疫組織染色でも浸潤白血病細胞がOX40を強く発現していた。また、十分な細胞数が得られた7例についてHUVECを用いた細胞接着実験を行い、少なくとも3例において抗OX40抗体または抗gp34抗体で抑制される有意の接着を観察した。 (2)OX40の細胞内シグナル伝達機構 ヒトT細胞株HSB-2のOX40transfectantを用いてOX40の細胞内シグナル伝達機構を解析した。ゲルシフトアッセイにより、膜結合型または可溶型gp34添加30分後にNF一κBの活性化が認められた。OX40の細胞内ドメインのdeletion mutantを作成してそれぞれのtransfectantでのNF-kBの活性化を検討した結果、アミノ酸配列255-262に対応する領域(GGSFRTPI)が、NF-κBの活性化に必要であることが示された。TNF受容体ファミリーで受容体でシグナル伝達に関わることが報告されているTRAF分子群について、OX40との結合性およびシグナル伝達への関与を調べたところ、TRAF2、TRAF3、TRAF5がin vivoでOX40と結合することが示された。またTRAF2とTRAF5のdominant negative型の導入よってOX40刺激後のNF-κBの活性化が著明に抑制され、またTRAF3を同時に導入するとさらに抑制された。以上のことから、OX40のシグナル伝達においてNF-κBの活性化にはTRAF2とTRAF5が関与し、TRAF3はむしろ抑制的に働くのではないかと考えられた。
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