研究課題/領域番号 |
09254261
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
目加田 英輔 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20135742)
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研究分担者 |
中村 邦明 久留米大学, 分子生命科学研究所, 日本学術振興会特別研
岩本 亮 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (10213323)
常岡 誠 久留米大学, 分子生命科学研究所, 講師 (50197745)
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キーワード | HB-EGF / CD9 / インテグリン / アポトーシス / 浸潤転移 |
研究概要 |
多細胞体において細胞接着と細胞増殖は、互いに関連しあい、高度に調節されており、またこの機構の破錠が癌につながることもよく知られた事実であるが、細胞接着を介した細胞増殖制御の実際のメカニズムはほとんど解っていない。膜結合型細胞増殖因子HB-EGFは、CD9、インテグリンα3β1、ヘパラン硫酸プロテオグリカンと複合体を形成して細胞と細胞の接着部位に局在しており、その複合体は細胞接着を介した細胞増殖の制御に働いているものと推定される。本研究は、HB-EGF複合体による細胞接着を介した細胞増殖制御機構、複合体全体の生理的役割、癌化との関連を、培養細胞レベル、マウスやニワトリ胚を用いた個体レベルで明らかにしようとするものである。平成9年4月から平成10年1月までに次のことを明かにした:(1)膜結合型HB-EGFは、ある種の細胞にアポトーシスを誘導すること、このような作用は分泌型HB-EGFでは見られないこと、(2)ニワトリ胚の肢芽形成期に将来アポトーシスが起こる部分でHB-EGF並びにCD9の発現が認められること、(3)(1)(2)の結果から、膜結合型HB-EGFは分泌型とは異なる機能を持って作用していること、その作用は細胞増殖の促進だけでなく抑制あるいはアポトーシスの誘導に働いていると考えされること、(4)膜結合型HB-EGFを分泌型に変える膜結合型プロテアーゼを同定し、このプロテアーゼはTPAによって活性化されること、(5)正常重層扁平上皮においてCD9は細胞と細胞の接着部位に局在するが、癌部ではCD9の発現が著しく減少していること、また、in vitroの浸潤転移アッセイにおいてCD9の過剰発現は浸潤能を抑制すること、である。今後は、これまでの知見を更に発展させて、HB-EGFによる細胞接着を介した細胞増殖制御のメカニズムを解明したいと考えている。
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