研究課題/領域番号 |
09255208
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大泉 康 東北大学, 薬学部, 教授 (00006355)
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研究分担者 |
松永 公浩 東北大学, 薬学部, 助手 (90222306)
古川 賢一 弘前大学, 医学部, 助教授 (20165468)
中畑 則道 東北大学, 薬学部, 助教授 (60045804)
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キーワード | 海洋微生物 / ゴニオドミンA / ハレナキノン / ズ-ザンテラトキシンA / 血管新生阻害 / アポトーシス / P13キナーゼ / MAPキナーゼ |
研究概要 |
1.抗腫瘍性海洋生理活性物質の作用機序解明と制がん研究への応用: 海洋渦鞭毛藻のマクロライド成分であるゴニオドミンAが非常に低濃度で著しく血管新生を阻害することを見出した。さらにゴニオドミンAの作用は血管内皮細胞の集合までの過程には影響せず、血管内皮細胞が集合した状態で管腔形成過程のみを特異的に抑制するという極めて興味ある事実を発見した。このような物質は、現在まで知られておらず注目される。抗腫瘍活性を示す海綿成分ハレナキノンやセストキノンがP13キナーゼ活性を抑制することを見いだした。最近、アポートシスの防止にはP13キナーゼが必要であることを示唆するデータが報告されている。そこで、PC12細胞にハレナキノンを作用させたところ、アポトーシスに特有の細胞の核の形態変化、DNAの断片化が、観察された。この事より、ハレナキノンは細胞レベルでもP13キナーゼ阻害活性を有することが明らかとなった。渦鞭毛藻のマクロライド成分ズ-ザンテラトキシンAが用量依存的に血小板凝集および細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を引き起こすことを見いだし、その作用はMAPキナーゼカスケードを活性化することを明らかにした。MAPキナーゼはがん化のシグナル伝達に深くかかわっていることから、今後、ズ-ザンテラトキシンAによるMAPキナーゼ活性化が血小板以外の細胞でも認められるかどうか検討し作用機構を詳細に解析する。 2.新しい医薬資源および新規天然制がん物質の探索: 既に大量培養に成功している100種類の海洋微生物のうち14種類についてL1210培養細胞を用いて抗腫瘍活性を検討したところ、数種の海洋微生物抽出エキスに活性が認められた。さらに抗腫瘍活性が認められたエキスについてPC12細胞を用いたアポトーシスに対する作用を検討したところ、数種のエキスに顕著なアポトーシス誘発作用を見いだした。
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