研究課題/領域番号 |
09255235
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
水野 元夫 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (90221605)
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研究分担者 |
辻 孝夫 岡山大学, 医学部, 教授 (80033306)
藤田 禎三 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20134223)
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キーワード | 大腸癌 / Decay acceleroting factor / 補体制御因子 |
研究概要 |
大腸癌で特異的で、出血とは無関係な癌マーカーを用いた新しい大腸癌検査法の開発は重要な課題である。我々は便中膜性補体制御因子Decay-accelerating factor : DAF測定の大腸癌検出における有用性を検討している。 (1)便中DAFの測定法の改良 DAF分子のSCR2、3、4をそれぞれ認識するモノクロナール抗体5B2、1C6、4F11の組み合わせを用いたELISA法を検討し、1C6と4F11組み合わせにより、従来のポリクロナール抗体とモノクロナール抗体を用いた方法と同等の感度で、かつ測定範囲の広いELISA法が開発された。このことにより、均一な条件で、かつ、多数の測定キットを安定に供給することが可能となった。次に、多数検体を測定するため、検体の処理法を検討し、測定系を簡便化した。従来の検体は夾雑物を取り除くため測定前に15,000Gで遠沈していたが、検討の結果、便を縣濁して軽い遠沈のみで測定可能なことが判明し、より簡便に短時間で多数の便が測定できるようになった。 (2)他の消化器疾患における便中DAFの変化 潰瘍性大腸炎(UC)患者の活動期病変組織でDAFの発現が亢進している。そこでUC患者便中DAFを検討し、UC患者便中DAFが、腸炎の病勢に応じて増加していることがわかった。また、UC患者便中では、多くの蛋白分解酵素が存在しており、便中のDAFがこれらの酵素に分解され、測定値に影響のでる可能性があるため、便中DAFの安定性について検討した。その結果、便中DAFは、室温でも24時間ほぼ一定の値を示し、その抗原性が変化なく保たれていることが確認された。このことは、スクリーニング検査において、検体の郵送による運搬なども可能となることを意味し、便中DAF測定の癌検診法としての実用性に非常に有利な点と考えられる。
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