研究課題/領域番号 |
09255264
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研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
小幡 裕一 愛知県がんセンター, 免疫学部, 室長 (30177290)
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研究分担者 |
辻村 邦夫 愛知県がんセンター, 免疫学部, 主任研究員 (10227407)
土井 了 愛知県がんセンター, 免疫学部, 主任研究員 (60227684)
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キーワード | Notch / Delta / 細胞分化 / 分化抑制 / リンパ腫 / マウスレトロポゾン / 免疫 / 遺伝子導入マウス |
研究概要 |
Notchは細胞表面膜タンパク質であり、隣接する細胞のNotchリガンドと結合して細胞間情報伝達を行い、細胞分化を決定すると推定されている。本研究グループは、MHC遺伝子の一種であるマウスTL遺伝子を導入したマウスに発生するTリンパ腫の解析を行い、Notch遺伝子に再構成が起き異常転写産物が産出され、これがT細胞が癌化する要因の1つであることを示唆する結果を得ている。また免疫系の組織に強い発現を示すことも観察している。本研究の目的は、Notch情報伝達系の免疫系細胞の正常分化ならびに癌化における役割を解明することにあり、研究の遂行により以下の結果を得た。 (1)Notch遺伝子再構成と発現増大の分子機序:TL遺伝子導入マウスのTリンパ腫の1例では、レトロポゾンがNotch-1遺伝子の膜貫通領域の5'側とPEST配列の5'側の2ヶ所に挿入されていることが明らかになった。"活性化型"でかつ安定なNotchタンパクが大量に産生され、細胞分化を抑制することで癌化に関与することが示唆された。 (2)Notchリガンド二よる細胞分化抑制:リガンドの1種であるDeltaの全長cDNAを導入したL細胞の上で、分化誘導が可能なC2C12細胞を培養し、Deltaの発現が与える影響を観察した。アンチセンスDeltaを導入したL細胞上では、C2C12は誘導後、筋肉細胞に速やかに分化することが確認された。一方、センスDeltaを導入したL細胞上で培養したC2C12は、形態学的にも変化を起こさず、またmyogeninも発現せず、Deltaが分化を抑制することが証明された。 (3)Notch/Notchリガンド情報伝達系の免疫系での機能:NotchとDeltaは免疫系を含め広範なマウスの組織に発現するが、リガンドの他の1種であるJaggedは神経系と腎臓に限局されて発現することが明らかになった。
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