研究概要 |
1.NMDA受容体はポリアミン、特にスペルミンによりその活性が二面的に調節されている。すなわち、スペルミンは脱分極時には活性を促進し、過分極時には活性を阻害(チャネルブロック〕する。この2カ所のスペルミン結合部位を決定するために、1アミノ酸残基置換変異NMDA受容体をアフリカツメガエル卵母細胞上に発現させ、活性を測定した。スペルミンによる活性促進は電圧を-20mVに固定してNRl_A/2B NMDA受容体を用いて測定し、活性阻害は電圧を-100mVに固定してNRl_ANMDA受容体を用いて測定した。また、活性阻害に関しては、促進作用を持たないポリアミン誘導体であるダンシルスペルミンを用いて確認した。その結果、スペルミンによる脱分極時の促進にはGlu342、Trp608、Trp611、Asn616、Trp647、Asp669が関与し、過分極時の阻害にはTrp563、Asn616、Glu621、Asp669が関与していた。すなわち、2カ所のスペルミン結合部位の一部は重複しており、膜内外の電位差によりスペルミンが膜中に移動していくと推定された。 2.プトレスシン取り込み系を構成する基質結合蛋白質PotFの構造とプトレスシン結合部位を、X線結晶構造解析及び、1アミノ酸残基置換変異PotFを作製することにより明らかにした。基質プトレスシンの結合にはNドメインのTrp37、Ser38、Asp39、Tyr40,Ser85、Ser87、CドメインのGlul85、Trp244、Asp247、及びリンカー領域のPhe276、Asp278が関与していた。なかでも、Trp37、Ser85、Glu185、Trp244、Asp247、及びAsp278の変異によりプトレスシン結合活性及びプトレスシン取り込み活性ともにほほ完全に消失した。
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