ATP感受性k^+チャネルサブユニットuK_<ATP->1(Kir6.1)の腎尿細管における発現を、免疫組織学的手法とウエスタンブロット法により調べた。uK_<ATP->1は、近位尿細管、太いヘンレの上行脚、集合管(皮質>髄質外層>髄質内層)において強く発現していたが、ヘンレループの細い脚には発現が見られなかった。発現量の順位は、従来知られている腎尿細管各セグメントのNa^+輸送能の順位にほぼ一致し、Na^+/K^+ポンプ活性との機能的連関を推測させた。尿細管細胞内の局在性について、共焦点レーザー顕微鏡を使い調べた。核を除く細胞質内に不規則に発現している蛍光像は、uK_<ATP->1が細胞膜(管腔膜、側底膜)および核には存在せず、細胞内小器官に存在することを示唆した。次に、ラット腎皮質をホモジネートし、管腔膜、側底膜、ミトコンドリア分画に分離し、uK_<ATP->1がミトコンドリア分画にのみ存在することを証明した。 腎集合管のNa^+輸送は、ミネラルコルチコイド(DOCA)により調節されている。単離した近位尿細管と集合管において、uK_<ATP->1とNa^+/K^+ATPaseの発現量をDOCA存在(1週間)の有無で比較した。結果:近位尿細管においては、uK_<ATP->1とNa^+/K^+ATPaseの発現量は変化しなかったが、集合管において両者はパラレルに増加した。
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