NF-kBの活性化には、そのインヒビターであるIkBαおよびβのN末部のセリン残基の燐酸化に依存した蛋白分解が必須であると従来考えられているが、我々はFK506、酸化ストレス、osmotic shock等のいくつかの非定型的なNF-kBの活性化刺激では、このN末部のセリン残基の燐酸化に依存しない新しいシグナル伝達経路によりIkBαおよびβの分解とNF-kBの活性化が起こることを明らかにすることができた。さらに、様々なプロテアーゼ阻害剤を使い、非定型的な刺激によるこの新しいkBαおよびβの分解とNF-kBの活性化には従来指適されていたプロテアソームが関与しており(投稿中)、非定型的な刺激によるエイズウィルスの活性化にはこの経路が重要であると考えられた。 また、Tatによるp53 promoter活性化の抑制、HIV-LTRの活性化を野生型p53は抑制し、変異型p53活性化する、等エイズ病態においてp53が重要な役割を果たしていると考えられる。我々は、NF-kBp65とp53が相互のDNA結合部位を介して直接結合することにより、NF-kBがp53の活性を阻害する一方で、wild-type p53はNF-kBの活性を抑制するが、mutant p53はNF-kBの活性を促進する等、p53がエイズウィルスの活性化に重要な役割を果たしていることを示す結果が得られた(投稿中)。 以上、非定型的な刺激によるIkBαおよびβの分解とNF-kBの活性化の新しいシグナル伝達経路の存在を明らかにすることができた。さらに、p53がNF-kBp65と直接結合することにより、エイズウィルスの活性化に重要な役割を果たしていることを示す結果が得られた。
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