• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

脊髄における神経可塑性モデル、アロディニアの作用機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 09259235
研究機関関西医科大学

研究代表者

伊藤 誠二  関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)

研究分担者 今村 一之  大阪バイオサイエンス研究所, 副部長 (30203326)
芦高 恵美子  関西医科大学, 医学部, 助手 (50291802)
キーワードプロスタグランジンD_2 / プロスタグランジンE_2 / プロスタグランジンF_<2α> / アロディニア / 痛覚過敏反応 / カプサイシン / グルタミン酸 / 一酸化窒素
研究概要

慢性炎症、組織損傷や神経損傷において、機械、熱、化学などの侵害性刺激が痛覚過敏反応を誘発するだけでなく、本来痛覚を誘発しない触覚刺激などの非侵害性刺激でも痛みが誘発され、アロディニアと呼ばれている。生理的条件下において痛みと触覚が区別されるのは、感覚の重要な中継部位である脊髄後角に末梢から伝達される神経が前者では、無髄のC線維、後者では有髄のAβ線維と明白に異なる神経線維を介することによる。病的条件下において触覚刺激が痛覚となるアロディニア誘発がされるには、神経の可塑性、即ち機能的あるいは構造的変化が必要と考えられている。我々は、これまでマウス骨髄腔内に投与したプロスタグランジン(PG)が、痛覚過敏反応だけでなく、アロディニアを長期間誘発すること、これらの痛覚反応にグルタミン酸、一酸化窒素(NO)が関与することを薬理学的に示している。今年度は骨髄後角の神経回路網を明らかにして脊髄での痛覚伝達、維持機構を明らかにすることを目的として、研究を行い以下の知見を得た。
1)C線維を特異的に破壊するカプサイシン処理を行うと、PGE_2によるアロディニアは抑制されるが、PGF_<2α>のアロディニアは抑制されないこと、
2)PGD_2はPGE_2のアロディニアを抑制するが、PGF_<2α>のアロディニアは抑制しないこと、
3)グルタミン酸NMDA受容体欠損マウスを用いて、PGE_2のアロディニアはε1サブユニット、PGF_<2α>のアロディニアはε1サブユニットを介しており、1)-3)の結果から、C線維を介するものとAβ線維を介する少なくとも2種類のアロディニアが存在することを初めて示した。
4)さらに、PGE_2ラット脊髄のスライスからNOを遊離させること、薬剤に対する反応がアロディニアの反応と一致することから、PGE_2のアロディニアにNOが関与することを示した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Minami,T.: "Absence of prostaglandin E_2-induced hyperalgesia in NMDA receptor ε subunit knockout mice." Br.J.Pharmacol.120. 1522-1526 (1997)

  • [文献書誌] Hara,N.: "Characterization of nociceptin hyperalgesla and allodynia in conscious mice." Br.J.Pharmacol.121. 401-408 (1997)

  • [文献書誌] Ezashi,T.: "Genomic organization and characterization of the gene encoding bovine prostaglandin F_<2α> receptor." Gene. 190. 271-278 (1997)

  • [文献書誌] Minami,T.: "Inhibition of nociceptin-induced allodynia in conscious mice by prostaglandin D_2." Br.J.Pharmacol.122. 605-610 (1997)

  • [文献書誌] Okuda-Ashitaka,E.: "Nocistatin:a peptide blocking nociceptin action in pain transmission." Nature. (in press).

  • [文献書誌] Sakai,M.: "Prostaglandin E_2 induced nitric oxide release from rat spinal cord." Br.J.Pharmacol.(in press).

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi