研究課題/領域番号 |
09260213
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中島 邦夫 三重大学, 医学部, 教授 (40022800)
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研究分担者 |
古川 圭子 名古屋大学, 医学部, 助手 (50260732)
田中 実 三重大学, 医学部, 助教授 (90024736)
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キーワード | プロラクチン / 保育行動 / ラット / マウス / 脳内受容体 / 遺伝子発現 / ノックアウトマウス / 神経回路 |
研究概要 |
平成9年度には母性行動発現時の脳内プロラクチン受容体発現部位の解析とプロラクチン・ノックアウトマウス作出による母性行動の解析を行った。 ラット脳内にはプロラクチン受容体長型のmRNAが短型のmRNAに比して圧倒的に多く発現し、長型受容体が脳内において重要な役割を演じていることを報告したが、今回^<35>SでラベルしたRNAプローブを使用してin situハイブリダイゼーションを行ったところ、脳内プロラクチン受容体長型mRNAの発現は脈絡叢choroid plexus>>>内側視索前野(MPO)>後内側分界条床核(BST)>視床下部弓状核(AN)>腹内側核(VMH)=海馬歯状回(DG)=室傍核(PVN)の順に多く認められた。 プロラクチン・ノックアウトマウスは、マウスプロラクチン遺伝子の第4エクソンのXhoIサイトにNeoジーンを挿入し、HSVtkジーンを結合させたターゲッティングベクターを用いて常法どおり作成した。得られた仔マウスの生殖能力を調べたところ、ホモのノックアウトマウスにおいて、雄は正常な生殖能力を有するのに対して、雌では受精卵が着床せず不妊であった。また乳腺の乳腺胞の形成不全が認められた。ヘテロのノックアウトマウスでは、雌においても正常な生殖能力を有していた。ホモのノックアウトマウスの雌について、正常マウスの産んだ仔を同居させた場合の母性行動を解析したところ、正常マウスと同様にRetrieval & Grouping、Crouching及びLicking等の母性行動を示すことが判明した。これはオキシトシンや、プロゲステオン、エストロゲン等による代償的な神経回路が形成されて母性行動が誘導されるものと考えられるが、今後さらに詳細な検討が必要である。
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