1)蛋白質-核酸系での3d-1D法の展開 3D-1D法は蛋白質構造予測法の1つで、蛋白質3次元構造(3D)に対するアミノ酸配列(1D)の適合度を評価する。利用範囲を広げる目的で、骨格構成原子とCβ原子の座標で、ほぼ同等な環境クラスを同定する3d-1D法を開発。この3d-1D法は、アミノ酸配列に依存する各部位の環境クラスの変化を見積もることができ、アミノ酸配列ホモロジーの小さい類縁蛋白質の適合性の感度を向上した。この結果をDNA修復酵素である、AlkAとendo lllについて報告。DNA-蛋白質、RNA-蛋白質の核酸-蛋白質系にも適用すべく、パラメータおよび評価式を構築。核酸分子も含む系で算出した場合が、含まない場合より適合度プロフィールが良い傾向が見られた。しかしながら、蛋白質が糖-りん酸骨格部分を認識する場合およびスタック構造をとらない塩基を認識する場合では欠点がある。 (2)新しい精密化法による揺らぎ構造情報の検討 XPLORの改訂版(3.851版)で計算したところ、温度因子はかなりの質的な向上をみた。プログラムに1部バグがあり、任意なweightingモードがうまくいロード出来ていない、これを可能とするよう修正を行った。SHELX-97がリリースされた。低分子量化合物のと同様な精密化が行える。現有の高分解能の回折データを与えるヒト・リゾチーム(変異体)のデータで精密化を行った。プロトタイプの精密化の結果との比較検討を行っている段階である。そして、熱安定性などの物性、機能に関連するタンパク質の揺らぎ構造の解明および予測に挑戦する予定でいる。尚、論文1はプロトタイプの精密化による結果を用いている。
|