研究概要 |
細胞増殖やシグナル伝達など様々な重要なプロセスにおいて、特異的にユビキチン化を受け分解される蛋白質が知られている。蛋白分解という不可逆反応が無秩序に起こらないように蛋白分解の目印を付加するユビキチン化経路に厳密な制御機構が存在するはずである。出芽酵母Rsp5蛋白のC末端側半分はヒトのE6-APと相同なhect-ドメインを持つユビキチンライゲ-スである。今までにRsp5蛋白はBull蛋白と大きな複合体を形成していることを明らかにしてきたが、Bull蛋白のPYモチーフに変異を導入し、2-ハイブリド法によりRsp5蛋白への結合能を調べたところ、1/11に低下していた。さらにこの変異bullはbull欠失株の温度感受性を相補できなかったことから、Bull蛋白はRsp5蛋白N末領域に存在するWWドメインとの結合を介して機能していると考えられる。Rsp5ユビキチンライゲ-スにmycタグをつけ、間接蛍光抗体法により細胞内における局在を調べたところ、主に細胞膜と液胞膜が染色された。Rsp5蛋白はC2ドメインを持つので膜に局在するのはうなずける。一方、Bull蛋白は細胞質に存在していた。bull欠失株は常温でNaイオンなどに感受性でストレス応答欠損を示す。Bull蛋白はRsp5ユビキチンライゲ-スの基質ではないことをすでに明らかにしているので、Rsp5蛋白の基質認識、活性調節などに働いていると考えられる。また、rsp5温度感受性変異のマルチコピーサプレッサーWHI2,AST1とその関連遺伝子についても解析している。
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