1 E1A誘導アポトーシスの過程で活性化し、トポイソメラーゼ(Topo)IIαを標的とするユビキチン(Ub)結合酵素の精製を行なった。デキサメタゾン(dex)投与によりE1Aの発現を誘導42時間後のMA1細胞のS100抽出液(の活性が最も高い)を出発材料とし、Ubアフィニティカラムに結合しResource-Qカラムに結合しない画分を回収後、Ub結合活性を持つ分子量約20kDaの蛋白をSDS-PAGEにより単離した(論文1)。 2 単離した約20kDaのUb結合酵素は、アミノ酸配列を決定した結果UbcH7であることが分った。UbcH7のin vivoにおける機能は不明であるが、マウスのホモログUbcM4の欠失がembryonic lethalとなることから、細胞分化・増殖の制御に必須のUb結合酵素と推定される。TopoIIαの発現が細胞周期依存的に厳密な調節を受けていることから、UbcH7がE1A誘導アポトーシスの過程と細胞周期におけるTopoIIαのUb化に関与している可能性が高い。 3 UbcH7に特徴的なアミノ酸配列を持つオリゴペプチドを合成し、このペプチドに反応する抗血清を調製中ある。また、UbcH7のcDNAにヒト細胞で強力に発現するβアクチンプロモーターを付加し、発現プラスミドを構築した。このプラスミドの導入により、ヒト細胞がどのような変化を起こすか、また、被導入細胞内のTopoIIαレベルがどのように変化するかを解析中である。
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