研究概要 |
本研究では網膜、視覚系大脳皮質、小脳などに見られるミクロなネットワークの非対称性の構造および対称性の構造に注目し、視覚系運動情報との関連性を検討したい。近年、視覚系運動情報としてFourier Movement Detection 及びNon-Fourier Movement Detectionが取り上げられている。 Non-Fourier Movementのための非対称かつ非線形性の神経回路としてJ.D,VictorはT(p)=p2+pの変換を提案している。この回路の処理能力を明らかにするため、比較の回路として対称回路を取り上げる。この対称回路の変換T(p)=2pを設定した。この二つの回路を同じ刺激条件のもとで処理能力を比較した。最初の運動刺激として正弦波(左側の細胞への刺激cos wtおよび右側の細胞への刺激cos(wt+s)、ここで右側の細胞では位相sが進んでいることを仮定している。)を取り上げた。ここでの条件とは左右の細胞の各々のインパルス応答h(t),h'(t)が未知でありかつ位相sを未知としている。上記二つの回路で、3つの未知数を回路のフーリェ変換を適用することによって導出できるかどうかにかかっている。この条件のもとに、非対称回路T(p)と対称回路T(p)の各々の導出から、対称回路では位相sが得られるが、インパルス応答h(t),h^1(t)に関して、情報が得られない。これに対して、非対称回路では位相sおよび刺激波の成分のインパルス応答分h(t),h'(t)が得られることを明らかにした。このことは非対称回路の能力の高さを示している。
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