研究概要 |
減数分裂期組換えのホットスポットYCR47c-YCR48wおよび、ARG4プロモタ-領域では20-30の二重鎖切断の起る場所があるが、それらの全てがヌクレオソームの無いヌクレアーゼ感受性領域に存在することを、塩基対レベルで明らかにした。これらの領域は、野生株でも二重鎖切断の起きない組換え遺伝子の欠失株rad50,mre11およびxrs2においても、ヌクレオソームの無いつまりクロマチン構造をとらない領域であり、クロマチン構造の違いは検出できなかった。この研究を進めている時に、rad50欠失株ではテロメアが短くなるという報告がされた。テロメア領域はテロメアに結合するRap1蛋白質、そのRap1蛋白質とヒストンに結合するSir蛋白質などにより転写活性の抑制されたヘテロクロマチン化していることが知られている。Rad50遺伝子がテロメアの維持に関係していることより、組換え遺伝子がテロメア領域のクロマチン構造の維持に関係している可能性がある。まず、他の組換え遺伝子の欠失株mre11およびxrs2でテロメアの長さを調べた。その結果、両欠失株においてもテロメアが短くなることが分かった。これらの遺伝子は組み換え修復にも関与している、そこで、mre11欠失株にMRE11を発現するプラスミドを導入し、テロメア長の回復を検出することにより、組み換え修復遺伝子の欠損による他の遺伝子の変異によりテロメアが短くなったのではないことを示した。FLAGタグをつけたMRE11を発現するプラスミドを導入し、FLAG-Mre11蛋白質とクロマチンをクロスリンクさせた後、抗FLAG抗体で沈殿したクロマチンよりDNAを精製し、テロメア領域のプライマーを用いたPCRでMre11蛋白質がテロメア領域のクロマチンに結合していることを明らかにした。私はURA3遺伝子のクロマチン構造を塩基対レベルで解いた、現在、URA3遺伝子がテロメア領域に導入された菌株を用い、そのクロマチン構造を解析している。つぎに、組み換え遺伝子の変異をその菌株に導入しURA3遺伝子のクロマチン構造変化を解析する計画である。
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