研究概要 |
1)ニホンザルを用いたP.coatneyi感染試験:供試した2頭は(J-8,J-9)、感染9日後より末梢血液中にマラリア原虫が認められ、J-8については感染14日後、J-9については感染13日後、貧血を主徴とした症状にともなって嘔吐、暗赤色尿の排泄、軽度の震戦を繰り返したのち昏睡に至り、ケタミン麻酔下で放血殺に処した。 2)P.coatneyi感染経過にともなうリンパ球サブセットの推移:感染後のリンパ球サブセットの推移をフローサイトメトリー法により観察した。その結果赤血球感染率が急増し、重度の症状が見られた感染13〜14日後の検査において、CD20,CD16陽性細胞数はほとんど変化がなかったものの、CD2、CD4およびCD8陽性細胞数は著しい減少が認められた。 3)P.coatneyi感染経過にともなうCD4陽性細胞の細胞内サイトカインの推移:感染経過にともない末梢血液中よりCD4陽性細胞を分離し、IFN-γおよびIL-4産生細胞をフローサイトメトリー法により観察した。その結果重症時にはJ-8,J-9とも、IL-4産生細胞に比較してIFN-γ産生細胞が優位に出現しており、Th1細胞の活性化が示唆された。 4)C32メラノーマ細胞に対するP.coatneyi感染赤血球の接着試験:TNF-α,20ng/mlで24時間刺激培養したC32メラノーマ細胞に、感染血球を混和して2時間培養したところ、84%のC32メラノーマ細胞表面に1〜41個の感染赤血球の接着現象が認められた。これらよりP.coatneyi感染血球もヒト熱帯熱マラリア原虫と同様に、接着現象にCD36の関与することが強く示唆された。
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